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ハモのクリスマス

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たかおゆうこ さく

福音館書店
1500円+税


ハムスターのハモは、ある晩ケージを抜け出して宝探しのお散歩をしていると、泣いている小さな女の子と出会いました。女の子は大切なことを忘れているような気がして悲しいのだと言います。ハモは女の子が少しづつ思いだす、「大きな木」「小さな仲間達」「きらきら輝く星」をいっしょに探します。クリスマスを舞台にした心温まる物語。

最初に一枚の絵が私の脳裏にうかび、そこから次々に違うシーンがうかびあがり、まるでパズルを解くように物語ができました。一作目の絵本「ハムスターのハモ」は、洗濯機の裏にハムスターが宝物を隠しているという設定です。それは完全に私の空想だったのですが、その後本当に洗濯機の裏に集めたものを隠すというハムスターが我が家にやってきました。それを見つけた時は現実は空想を越えている!と心が震えました。「きっと、このハムスター、うちの『ハムスターのハモ』を読んだんだよ!」という娘の言葉に「うん、ありえるかも・・・」と否定できない私でした。 ちなみに、この洗濯機の裏の絵には実際に私の息子や娘が小さい頃描いたり作ったりしたものが散りばめてあります。
今回のテーマは光と闇です。ドイツで暮らして思うことは「今の日本はとても明るい」ということです。これは電灯の明るさのことです。私が小さい頃はもっとあちらこちらに闇がありました。家の中にでさえたくさんの闇がありました。そこからいろいろなことを妄想して恐怖におののいた子ども時代でした。ドイツはエコなのか伝統なのかわかりませんが、今でもとても暗いのです。とことん電灯をつけません。ですから、とても光が映えます。夕暮れ時に人の家にロウソクの光を見つけただけで暖かい気持ちになります。それは冬が近づけば近づくほど。クリスマスはその最たるもので、クリスマスツリーやロウソクの光に心が洗われます。
その光の美しさを表現したくてパステルを使いました。一作目とまったく違う絵のテイストですが、あえてチャレンジしました。この原画のパステルの持ち味を上手に表現してくれた日本写真印刷さんに感謝。デザイナーの辻村さんに感謝。そして変更変更の嵐にもめげず最後までつきあってくれた編集の井上さんに感謝!「ねえ、どう思う?」の私のネトネト攻撃に始終つきあってくれた友人、家族に感謝です。(2009年12月)